Alecriar Studioの中の人の技術メモ

横浜の個人事業主が日々の技術的な情報をつづります

家庭内LANをIPv6対応にするお話 01 - IPv6とは

インターネットの根幹技術 TCP/IP

TCP/IP はインターネットの代名詞とも言える技術で、黎明期からインターネットを支え続けてきました。TCPは「Transmission Control Protocol」、IPは「Internet Protocol」のことを指します。TCP については割愛しまして、今回は IP についてのお話です。

初期から存在した IP は IPv4 といい、 v4 はバージョン4であることを示します。IP は端的に言えばIPアドレスのことであり、インターネット上の住所を表現するためにこの技術が使用されました。

IPv4 では、IPアドレスは「XXX.XXX.XXX.XXX」といった表記になります。Xは0~9の数字で、最大でもわずか15文字の数字とピリオドのみで構成されています。インターネットに接続されている世の中のすべての機器はこのIPアドレスを持ち、それぞれが世界で一つしかなく(重複してはいけない)、そのためにIPアドレスを指し示して互いに通信することができるようになりました。

しかし、状況がかわりつつあります。

IPアドレス枯渇問題

www.nic.ad.jp

IPv4では、それぞれのノードごとの数字の範囲が0~255の範囲に限られており、最小の数値の「0.0.0.0」から最大の数値の「255.255.255.255」までが有効なIPアドレスとなります。これを2進数に直すと32桁となり、それにより総数としては2の32乗、つまり約43億個のIPアドレスが存在します。

しかし、この約43億個という数字は多いようで少ないです。世界の人口が70億人にも達しようという今日、一人ひとりに1つのIPアドレスを配ることができません。その上、多くの人がPCやスマートフォンなどの情報機器を複数所持しており、それにはそれぞれIPアドレスが割り振られているため、ひとりで複数のIPアドレスを使用している現状です。

日本におけるIPアドレスの管理機関であるJPNICでも公式声明が出されている通り、世界中でIPアドレスの枯渇問題が浮かび上がっており、日本においてもあと3年ほどで完全に枯渇するといわれています。

では、どうするのかという問いに対しての答えは、既存の IPv4 に代わる新しいIP技術を作り、それを今後の標準にしていくということでした。それが IPv6 です。

IPv6 にするには

f:id:alecriarstudio:20200122212103p:plain

まず、IPv4 から比べると、割り当てられるIPアドレスが大幅に増えました。

表記は以下のようなものになります。

IPv6の表記 「XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX」

0~Fまでの4桁の16進数をコロンで区切り、それを8つ並べたものとなります。これを2進数で表すと128桁となり、総数としては2の128乗(約340澗)という途方もない数値となります。IPアドレスの枯渇についてはこれでほぼ解消されます。

では、ただ単に IPアドレス の表記がかわるだけなら、いままで IPv4 で構築した家庭内LAN環境も IPアドレスの部分だけ書き換えていけば IPv6 対応になるのではないか、と考えるところですが、事はそう単純には済まされません。

このお話の続きはまた次回です。